もちろん、皆の視線もまっすぐ競技場に降り注がれたまま。



日向なんかは一言も話さずに、瞬きも忘れて競技の様子を見つめている。



…だけど、何か言葉を発していないと気持ちがほぐれないんだ。



程よい緊張感は必要だけど、心が固くなりすぎると体まで固くなってしまう。




一つ上…二年生の雄大(ゆうた)先輩が無邪気に言った。



「隆史部長は黄色って感じですね」


「お、それは明るく爽やかなってイメージか?」



他校の様子をメモに取りながらも、器用な隆史先輩はすぐ応対した。



「いえ。ちょっと抜けてる呑気者ってイメージです」


「…どいつもこいつも…口の効き方を知らん奴らだなー…」



日向と少し似た毒舌さを持っていても、優しい雄大先輩は。



…笑顔の爽やかさも、どんな長距離も涼やかに駆け抜ける爽やかさも。



「水色」というイメージだ。