俺は軽く笑うとベッドから上半身だけを起こして、柚の触れていた"ゼラニウム"という花に手を伸ばした。



「この花言葉って何?」


「は…花言葉?」


「柚なら知ってんだろ?」




柚は少し目を見開いたあと、「愛とか…尊敬とか…」と呟き始めた。




…やっぱりあれは夢だったのか。



俺はそう首を捻りながらも、最後のあがきとして柚に聞いてみた。




「"君ありて幸福"って意味は…なかったっけ?」


「…っ、え…」



びくっと、柚の小さな肩が揺れた。



…そう。



夢の中で、君が確かにそう言ったような気がしたんだ…





「日向、その意味知って…え?なんで?」



戸惑う柚の表情が、不思議な程に愛しくて。




…知らず知らずのうちに、その柔らかい髪を撫でていた。



「っ…」