『・・・・・文子に、捨てられたと思ってる?』



沈黙の中、奈美さんが切り出した。



『・・・捨てたとか、そんな言い方やめてください。確かに、これを機会に離れたいとか、教頭と本当に何かあって会わす顔がないとか思われてるかもしれない。
けど、何にせよ、俺も会わないほうがいいと思うんで。』




『…………………。』





『会ってやり直したところで、俺は結局迷惑ばかりかけてしまう。また問題にもなるかもしれない。
俺は所詮18のガキです。
彼女のためにできる事なんて限られて…』

『だから?』




『……え、だから…俺じゃないヤツの方が文子を幸せに…』


『あ−−。あんたって見た目の割に意外とバカ?何、いい男気取り?』


『な…………』



彼女の口からでてくる言葉達に唖然とする。






『結局、自分が楽になりたいだけじゃない。』





最後に吐き捨てた。




『……!俺がどんな思いでこれ言ってると思って…』



思わず奈美さんの肩をついた。

瞬間、彼女の足が俺の腹部を強打した。


思わず咳き込む。


『じゃぁあの子は、どんな思いで電話切ってると思ってんのよ!!』