処分内容は停学となっていた。それ以上の処分を覚悟していたので、少しほっとした気がしてその安堵を自ら恨んだ。
鍵はもちろん没収された。
それを受け取ったのは、文子にセクハラをしているという噂の教頭だった。
あの屋上へと導く鍵が、一気に汚された気がした。
じっと見ていると、そいつが口を開いた。
『命拾いしたな。』
そうつぶやき、俺を見て、ニヤッと笑った。
俺は全てをあざ笑われたような気がした。
『文子に何をした。』
そいつの胸倉を掴み、静かに問うた。
『——っなっ離せ!何の事だっ!』
『今のセリフ、そういう意味だろーが。
俺を停学ですませる事を条件に、文子に何かしたんじゃねーのか!!』
『ご誤解だ!離せっ』
『何やってるんだ!』
他の教師が止めに入り、おさえられる。
『高瀬お前!今度こそ退学だぞ!』
『―――・・・っ。』
その言葉で、血管が浮き出るほど強く握った拳を下ろす。
どんな形であれ、文子に救われた命なら、俺には生きる使命がある気がしたのだ。
ドアを思い切り蹴り、職員室を去った。


