『嘉人平気?なんか目ぇ死んでるぞ。』




教室で琢磨が心配して寄ってきた。






『それにしてもなんだろなー諸事情って。悪いことする教師じゃねーだろフミちゃん。
なんだかなぁ。花くらいあげたかったよなぁー。』






『‥‥‥‥‥悪いな。』




『は?なんで嘉人が謝るんだよーっ』



笑う琢磨から目をそらし、窓の外を見て黙る。



俺の沈黙ですべて悟ったかのように、琢磨は『そうか。』と、つぶやいた。






その時、職員室への呼び出しの放送がかかった。





『多分お前の顔しばらく見れなくなる。』



『お前‥‥‥。負けんなよ。
俺、お前がした事、悪いなんて思えねぇよ。』



『琢磨。』


俺は荷物をつめて立ち上がる。


『ありがとな。』

琢磨の感謝を言葉にするのは初めてだった。

琢磨は、見たことも無い顔をする。
呼び止める声を聞かないフリをして、俺は教室を去った。