文子の身体を引き寄せた。 『俺が転んだら、身体でかいから文子大変だよ?』 今度はしっかりと抱きしめる。 『ふふ、私だって冷え性だから、あなた大変よ?』 汚れを知らない粉雪が、二人を包み込む。 ぽつり、ぽつり、顔に落ちて、 涙と混ざった。 今までの傷が、この人と出会うためのものだったのなら、 親も施設も何もかもを 俺は許せてしまうかもしれない。 恐いほどの幸せを確かめるように、彼女の身体を俺は震えながら離さなかった。