あの日から、こうして時々部屋に呼ばれる。


ワカマツは、俺だけに憂さ晴らしをし続け、他では相変わらず完璧な善人を気取っている。


ただこの男は密室以外では絶対に手を出さないため、俺は試しに一時期部屋に呼ばれても行かないようにしてみた事がある。確かまだ小学生の頃だ。




3回、4回とスルーしていき、回避する方法を見つけた、とほっとしていた矢先だった。

学校から帰ると、俺より3つ下の女の子が頭に包帯を巻いていた。


どうしたのか聞くと、

『園長先生が鉢植えを落としちゃったの。痛かったけど、平気っ、先生すごく謝ってくれたし、こんなに手当てしてくれたしっ。』

と、その子は笑顔で答えた。


その奥で園長は、うっすら笑っていた。
目は確実に俺をとらえ、ゆっくりと手招きするのだった。