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『西崎さんまた一人ぃ?一緒にパス練しよーぜぇ。』


体育の時間、バスケのボールを取りに行って戻ってくると、
アコ達がわざとらしい笑顔でカナに声をかけていた。



どういうつもり?



『えっ?あ…うん、ありがとう。』

好意には好意で応えるカナ。



そして5人で円になって練習を始めた。



アコがボールをパスしながら口を開く。


『ねー西崎さんて男子と仲いいよねー、誰か狙ってんの?』


突然の嫌味な質問だ。


『…は?そんなんじゃないよ、みんないい人達で…』

カナは怪訝な顔をして、マキにパスをする。


『アハッ確かに“みんな”に愛想ふりまいてるよねーぇ。』


にやにやしてマキは私にパス。
私は何も言わずユリにパス。


『そんなんじゃない。私は友達として仲良くしたいだけだし、男の子達もそれわかってると思うし。』


『…そうかなぁ』


ユリがつぶやき再びアコへ。



『やーごめんねぇいきなりこんなん言いだして。
実はさー他のクラスの友達が亮太くんの事好きで、あんたと彼が仲いいの気にしてんだわ。
だからちょっと離れてくんない?』


アコは器用にボールを人差し指でくるくる回す。

みんながカナの反応を待った。