『てかレイさ、亮太君の事好きとかじゃないよね。』

『昔から、本当に何もないの?』


瞬時に目付きが鋭くなったような気がしてドキッとする。



私が亮太を?

『ないっありえないよーあはは!それは安心してよ。』


なるべく自然に言う。


本当にあいつにも私にも恋愛感情はないのに、その疑いのせいでこっちの関係が崩れるなんてごめんだ。



でも…あいつの気持ちは?

正直、わからない。


昨日私を抱き締めたのは、そういう事?

違うよね、はっきりと言葉にされたわけでもないし、兄貴みたいな気持ちであぁしてくれたはず。




『よかったねーユリ!こいつ不安になっててさぁ。あはは!じゃぁレイさ、とりあえず二人のメールつなげてやってよ。』

『えっ私が?』

『嫌なの?』

『別にそんなんじゃ…じゃぁ聞いとくねっ。』


『ありがとレイー!』


無駄にふりまく自分の笑顔と、
ユリの笑顔に少しほっとした胸に、うんざりする。




『はいじゃぁ撤収ねー!』


そうしてベランダから教室に入った時だった。



『あははは!!それやばいよー亮ちゃんっ。』


4人が一斉に声の主の方へ向く。


教室の端で亮太とカナが肩を叩いたりして、かなり仲良さそうに話している。


一気に会話がなくなる四人組。


おそるおそる横目で隣を見る。


ユリは泣きそうな顔をしている。

アコとマキは凄みのある目でカナをにらみつける。



そしてアコがつぶやいた。

『邪魔だな、あいつ。』


カナはなぜこうもうまく地雷踏んでしまうのだろう。
嫌な予感は的中した。