* * *


ある日、奇妙な夢を見た。






夢の中で私は、文子さんの小説をもう一度読み返していた。

すると最後のページの紙が2枚重なっていることに気付いた。


ぺりっと離すと、5話で終わるはずの物語の、「第六話」の三文字が記された最後のページが現れた。


第六話の内容は記されていないが、私は胸に何かひんやりした風が忍び寄るのを感じた。


・・この物語はまだ終わっていない・・?



私が眉をひそめていると、高瀬が現れ、「いよいよ明日だな。」と声をかけた。


「うん」と答えつつ、何がだろうと思っていると、
結婚式が始まった。


父親と腕を組んでふわふわのドレスでバージンロードを歩くと、高瀬が真っ白いタキシードで迎えた。


見慣れない姿に、なんだか笑えてしまった。




来賓席を見ると、カナや亮太を始めとするクラスメート達、母親、藤田先生、そして何故か文子さん、高瀬の両親も拍手を送っている。


誓いの言葉を交わし、指輪を交換する。


キャンドルに日を灯し、誓約の署名などをすます。



陽気な牧師に、誓いのキスをと求められると、高瀬は日だまりみたいに穏やかな表情で私を見つめた。

見つめ返すと、笑みと涙がこぼれた。



皆のすすり泣く声をBGMに唇を重ね、最高潮の幸せに酔いしれた。