「・・・・・・え?」
ワタルが顔を上げると、看護婦が微笑んだ。
胸に、「相田美咲」と書かれた名札があった。
ワタルは今度は本当に心臓が止まるかと思った。
「びっくりした、ついに明日だと思ってたら、救急車で運ばれてくるんだもん。」
ミサキがそう言って笑うと、少しふっくらした頬にえくぼができた。
タイムカプセルとは、退院する彼を見送ったときまで抑えていたミサキの恋心の事だった。
ミサキも退院後、彼への気持ちを支えにまた学校に通い勉強し、夢を叶えたらしい。
二人は迷うことなく結婚した。
かつて愛されたくてたまらなかった、傷だらけの二人を救ったのは、誰かに愛されることではなく、「愛する」事だった。


