ノートの奇数冊目をワタルが、偶数冊目をミサキが持つことになった。
たまらなく寂しかった。
もう一度狂ってでも、一緒にいたいと思った。
そう、恋だった。
ワタルがそれに気づいたときはもう、別れた後だった。
これからの約束なんて、照れくさくてできなかったのだ。
住所も電話番号も何もわからなかった。
あんなにお互いのことを語ったのに。
苦しくて、何度も何度もノートを繰り返し読んだ。
そして、もう見ないようにしようと押入れの奥に入れようとした。
最後のページの紙が折れていたので直そうとしたその時、ワタルは目を見張った。読みとるのが難しいくらい小さいミサキの字が現れたのだ。
「タイムカプセル 10年後3月2日 裏庭」
それからまた義理の親元で暮らしたワタルは同じようにひどい扱いを受けたが、もう屈することも、甘えることもなかった。
彼を支えたのはチョコレートではなく、どこかで頑張るミサキへの愛だった。
10年後のその日を目指して、ワタルは戦った。
しっかりと自分で働き金を貯め、3年後自立して、彼女が好きだといっていた横浜に移り住んだ。
しかしそんな彼を、更なる悲劇が襲った。
彼の実の父親が金欲しさにワタルの元にやってきたのだ。
それを拒むとナイフをもってワタルを脅した。
実の息子に対するとは思えないその態度に落胆したワタルは父親にもうこないでくれと言い放ち、立ち去ろうとする。
それでもしつこくせがむ父を殴ってしまい、謝ろうとするがその時胸を刺されてしまう。
近くの病院に運ばれ、命はとりとめたものの、ワタルは目覚めてあることに気づき、涙した。
約束の日を過ぎてしまったのだ。
自分が眠っている間、きっとミサキはあの病院の裏庭で待ちぼうけていたのだ。
一度きりのチャンスだったのに。
手帳を持ってきてもらい、それにはさんであったノートの切れ端を握り締め、うなるように泣くワタルに、看護婦が心配そうに声をかけた。
「大丈夫ですか?痛みますか?」
ワタルはかまわず泣き続けた。
チョコレートがほしい、と、もう少しで口にするところだった。
「タイムカプセルはもうあきましたよ。」
たまらなく寂しかった。
もう一度狂ってでも、一緒にいたいと思った。
そう、恋だった。
ワタルがそれに気づいたときはもう、別れた後だった。
これからの約束なんて、照れくさくてできなかったのだ。
住所も電話番号も何もわからなかった。
あんなにお互いのことを語ったのに。
苦しくて、何度も何度もノートを繰り返し読んだ。
そして、もう見ないようにしようと押入れの奥に入れようとした。
最後のページの紙が折れていたので直そうとしたその時、ワタルは目を見張った。読みとるのが難しいくらい小さいミサキの字が現れたのだ。
「タイムカプセル 10年後3月2日 裏庭」
それからまた義理の親元で暮らしたワタルは同じようにひどい扱いを受けたが、もう屈することも、甘えることもなかった。
彼を支えたのはチョコレートではなく、どこかで頑張るミサキへの愛だった。
10年後のその日を目指して、ワタルは戦った。
しっかりと自分で働き金を貯め、3年後自立して、彼女が好きだといっていた横浜に移り住んだ。
しかしそんな彼を、更なる悲劇が襲った。
彼の実の父親が金欲しさにワタルの元にやってきたのだ。
それを拒むとナイフをもってワタルを脅した。
実の息子に対するとは思えないその態度に落胆したワタルは父親にもうこないでくれと言い放ち、立ち去ろうとする。
それでもしつこくせがむ父を殴ってしまい、謝ろうとするがその時胸を刺されてしまう。
近くの病院に運ばれ、命はとりとめたものの、ワタルは目覚めてあることに気づき、涙した。
約束の日を過ぎてしまったのだ。
自分が眠っている間、きっとミサキはあの病院の裏庭で待ちぼうけていたのだ。
一度きりのチャンスだったのに。
手帳を持ってきてもらい、それにはさんであったノートの切れ端を握り締め、うなるように泣くワタルに、看護婦が心配そうに声をかけた。
「大丈夫ですか?痛みますか?」
ワタルはかまわず泣き続けた。
チョコレートがほしい、と、もう少しで口にするところだった。
「タイムカプセルはもうあきましたよ。」


