トイレでカナを突き放した放課後を思い出す。

カナは、今同じ顔をしてるんだろう。

言葉にできない感情が沸き上がってくる。
頭に血が上る。


心臓のたてる大きな音に耳をふさいだ。



『帰って、帰って‥帰ってよお!』

拒絶された二人は黙って私を見つめた。



——そんな目しないで‥



その空気にも耐えられず、ますます混乱してきた私は、涙が流れていることにすら気付かなかった。

亮太が再び腕をつかむ。



『‥っ何よ、帰らないなら、だったらいっそどん底まで突き落としてよ!そうだ、亮太ならできるよね、私のこと好きなんでしょ?』

亮太は私の言葉に驚いて手を離す。



私はもっともっと最悪なやつになりたいくらいだった。
そんな衝動にうっすら笑った。



『‥はは‥ねぇ、私、汚いでしょう。変わってないなんて、嘘、もう私に何も期待しないで、私だって‥‥っ‥‥』



私は最後まで言い終えぬうちにうずくまった。
荒波が残した、ひどい頭痛のせいだ。

二人が心配して駆け寄る。