『麗!』
突然肩をつかまれた。
振り返ると、強い目をした亮太が立っている。
『麗、いた。コンビニ。』と即座に誰かに電話をする。
ドクンと心臓が鳴る。
もっと覚悟してくればよかった、
扉をあけるとは、そういう事なのに。
亮太が話す隙に逃げようとしたが、コンビニを出てすぐ華奈にぶつかり、つかまった。
カナは宮崎から昨日東京にきたらしい。
怪我はほとんど治ったようだ。
私は決まり悪くなって、地面をみつめて黙りこくった。
『麗ちゃん、ちゃんと食べてる‥?』
『‥‥‥‥‥‥‥‥。』
こくりうなずくと、そう‥とカナは切なそうに笑った。
『お父さんのこと聞いて心配になって電話したけど出ないし、そっとしといてほしいのかなって思ったけど‥学校まで休んでるって聞いて‥』
『家行ってもおばさんしかいねえし、聞いたらこの辺だって教えてくれて。で、「もういないかもね。」って言ったんだ。おばさんの様子もおかしかったから、なんか、取り返しのつかないことになるような気がして‥』
「もういないかもね」、か。
『やっぱり‥麗ちゃん、目が‥。ねぇ、うちらに寄り掛かっていいんだよ?麗ちゃんたまに頑固だから、頼らないって決めたら揺るがなそうだけどさ。』
カナがいつもの温かい顔をむける。
私はたまらなくなってその手を払い除けた。
『帰って、二人とも。』
——静かな平原を踏み荒らさないで‥‥


