藤田先生と話をしたらしい。

彼は、「結婚というのはただの噂だが、他に好きな人ができたのは本当」と言ったそうだ。



カナの泣き声を聞いたのは初めてのことだった。


どんな嫌がらせをされても全く屈しなかったカナが、完全に取り乱して苦しんでいる。



『そういえば、一昨日くらいから急に冷たくなって‥‥それまでクリスマスの計画とか楽しく立ててたのに、
そっけないし、電話出ないし‥実は不安だったんだよね‥へへ、でも、まさかなって‥』


カナの声が震えている。


なんだろう、こんなに胸が苦しい。

カナに恋をしているみたいだ。


カナは、いつのまにか私の中に大きく存在し、“大切な人”になっていた。


人が人に依存し始めてこの域にくるまで、なんて早いこと。