吹き付ける風が日に日に冷たくなっていき、二学期も終わりにさしかかった頃のことだった。
手をすり合わせながら、カナと図書館に向かって歩いていた。
廊下で数人の女の子達の前を通り過ぎるとき、
不思議な話を耳にした。
『ねー聞いた?
藤田せんせ結婚するらしいよ。』
私たちはピタッと会話と足を止め、
女の子達が騒ぐほうに振り向いた。
『えーっ』
『相手は相手は?!』
『しーっ、なんか大学の同級生だった人らしい、今OLだって。先生が話してるのたまたま聞いてさー。』
カナを見た。
彼女は、
『噂って怖いなぁ、どっからそんな話でたんだろ。』と、笑って言った。
私もカナと先生の仲のよい様子は以前から見ていたので、本気にはしなかった。
その夜、彼女から泣きながら電話がかかってくるまでは—‥。


