全員が、先生の一挙一動を見つめていた。
先生は、床に落ちたカッターを拾って、そのまま教壇に登る。
授業をするかのように机に手をおく。
そして目を見開いて言った。
『ねぇっふふ、みんな。
…私はさーみんなに、国語とか勉強は何も教えられなかったけどー。
1つだけ教えられることがあると思うのー。』
カッターの刃をカチカチと出す。
『せんせ…?』
これから何をするか、わかる。
私にはわかる。
でも、身体が動かない。
『先生・・やだ・・』
真顔になった先生がその刃を自分の首にあてる。
『この後、考えなさい。』
次の瞬間
視界が
真っ赤に染まった——……
* * * * *
メガネの少女は、涙でたまに言葉を詰まらせながらも、ぽつりぽつり話した。
『私…その後、先生の声を聞いたの。先生ね・・』
『あんた…』
『え?』
『教室どこ』
『3のAだけど…』
『違う、場所』
『…え、そこの校舎の階段上ったところだけど…え、ヨシヒト君?』
俺は再び走り出した。


