学校では、パトカーや救急車、警察、生徒、その他大勢がざわざわと集まっていた。


その光景を前にして、
奈美さんの言っていたことが徐々にリアリティを持ち始める。




息を呑んでいると、誰かに名前を呼ばれた。




『あの・・・もしかして“よしひと”君ですか…?』



振り返ると、メガネをかけた気弱そうな女の子がいた。


その後ろには、気を失ったり泣きじゃくっている他の生徒達がいる。






『なんで俺だって・・・』


『あ、やっぱり・・。文子先生に私達と同じ学年の彼氏がいることは知っていました。』




文子のクラスの子か・・・




『文子先生はもう運ばれて…てゆうか…あの!…ごめんなさい!!
私のせいなんです。私の代わりに先生がいろいろされてて…っ』




その子は鼻を赤くさせてひたすら謝った。





『…今日、いったい、何が…』



俺は尋ねた。




この子の文子への信頼を感じ取って、嘘偽りなく話してくれると思った。



聞く覚悟なんて、できてないくせに。







『あの…今日はなんだか先生…変で…
いつもは何されても、黙っているか教師らしいお説教みたいな叱り方しかしないのに、今日は…』