文子が話しおわっても、しばらく言葉が出てこなかった。

怒りや、悔しさ、言葉にできない何か、負の感情が交ざりに交ざって自分の中からつきでてくる感じがした。


気付いたら壁を思い切り殴っていた。


気付いたら怯えた文子を抱きしめていた。




俺は毎日何をしてた?



文子がそんな目にあってる間、俺は能天気に何を‥






『‥‥んで‥‥』



『なんで‥‥もっと早く俺に言わない!』


『————‥‥っ』



文子は声を殺して泣く。



『どうしてうそなんか‥‥!
‥‥んだよ‥‥俺に出来ること、何もねぇの‥‥?』


『——‥‥‥っ』



混乱と動揺で頭がくらくらする。




『なんでだよ‥‥俺に‥頼れよ‥っ。支え合って歩いてくんじゃねーのかよ‥‥っ。
何そんな強がってんだよ‥‥俺に‥もっと‥‥』



情けなくも目からこみあげたものは溢れだして止まらない。



そこで、文子は俺の身体を離した。