部屋には光が差し込んでくる。


 ボクはいったんデータに保存を掛け、一休みしながら愛海を想う。


 全身に疲労が溜まりつつあったが、ボクは疲れが取れると、また書き始めた。


 作品は一応完成し、ボクはその三百枚の原稿の冒頭に未定だったタイトルを付けた。


 <愛し、愛され>という、いかにも恋愛モノに相応しいタイトルを。


 ボクはこれから推敲する予定のその恋愛小説に、愛海と自分の恋愛体験をオーバーラップさせていた。


 愛情さえある限り、人間は生きていけると信じながら……。


 ボク自身、自分の心中に込み上げてくるものを感じながら、若干間を置いて推敲することにした。


 そしてまるで作品に命を吹き込むかのようにして、ボクは原稿を作り上げた。


 おまけに時々学校をサボりながらも、ボクは愛海と会い続ける。


 大概、大学の学内にあるカフェか、学外でも格安のコーヒーショップだ。


 一杯のコーヒーを飲むのに三百円ぐらいで、ボクも愛海も寛げた。