卒業が難しいのは承知で。


 何度も言うようだが、ボクは必修の単位を落としているので留年が確定している。


 これはどうしようもない。


 そしてボクは学校に行きながらも、また夜勤の警備員の仕事をし始めた。


 六月で蒸し暑い夜気がこもる警備業者の一室で、ボクは倉田さんと会話を交わす。


「よく帰ってきたな」 


 倉田さんがボクに対面して早々、そう言ってきた。


 かなりのブランクがあり、しかも会わずに「体調不良です」と電話で連絡していただけだったので、倉田さんも当惑していたのだった。


「大嶋」


「はい」


「大学行き続けるんだろ?」


「ええ、一応は」