ボクは一応形式的に、担当医のカウンセリングを受けた。


 病院側としては、ドクターが診察した後、軽い薬まで出すつもりでいるのだろう。


 ボク自身、悠然と構えていた。
 

 愛海だけは信頼できるのだから。


 仮にドクターがまた体(てい)のいいウソを並べてきたとしても。


 愛海を信じれば済む話なのだし、苦しみの渦中にあってもボクはしっかりとやっていくことが出来そうだった。


 不幸なことに出席日数が足りなくて、単位を落とし、最悪留年したとしても……。


 そのときはボクは大学を辞め、自力で働く気でいた。
 

 仮に人中に入っていき辛かったとしても、だ。


 ボクは自分自身が愛海と手を繋いで携えている以上、不安はあっても軽減された。


 予想通り、ドクターはいい加減なことばかり言ってくる。


「そんなものないから気にするな」とか「別に君だけが苦しんでるわけじゃない」などと調子のいいことばかりを言って。