ボクが、


「俺の方は第二外国語、簡単だよ。フランス語だけど」


 と言い、釣られるようにして笑う。


 ボクは語学だけは愛海と違うものにしていた。


 ボク自身、フランス語を習ってはいても、喋るどころか単語一つ出てこない。


 おまけにボクの担当教官の有田は、仮に学期末のテストの答案にまともなことを書かなくても、皆通していた。


 実は悠洋大の文学部は、普通の大学なら一、二年生で第二外国語を教えるところをカリキュラムの都合上、三年生の前期まで延長して教えている。


 だから、本来なら敬遠したい第二外国語の授業が七月頭まで続くのだ。


 ボクも、優等生で通っている愛海も、さすがに疲れてしまう。


 英語だったら中高通じてある程度教え込まれているので、何でもないのだが……。


 だが、ボクたちは普通の大学生よりも断然気持ちが若い。


 新しいことにチャレンジする精神が身に付いているのだ。