珍しく彼女らしくもない。


 講義をサボると言い出したからだ。


 ボクが頷くと、愛海が、


「決定ね」


 と言い、食事を作り続けた。


 キッチンからはチャーハンの匂いがする。


 彼女は中華が得意なのだ。


 しかも満腹となってしまう脂物が……。


 そして五月が終わり、六月に入って、ボクはあることがきっかけで学校には一切行かなくなった。


 それは自分の持つ体臭を、同じゼミにいる羽尾(はお)に指摘されたからだ。


 ボクは以前から自分の体臭――いわゆる自己臭を気にしてはいたのだが、三年生の夏場のゼミで、羽尾から、


「お前臭いから学校来るな」