「ああ、ありがとうね」


 ボクがそう礼を言うと、愛海が、


「そんなにバカ丁寧に言わなくてもいいわよ。ちゃんと思いは伝わってるんだから」


 と言い、笑顔を見せる。


 彼女は無邪気な一面を曝け出した。


 だが、さすがに小説家になろうとしている人間だからか、感受性が鋭いし、かなり神経が細かい。


 そこら辺りにいる荒っぽい女子大生とは大違いなのだった。


 ボクも正直なところ、キャンパスで見かける女子たちに飽きている。


 はっきり言えば色気がありすぎて、逆にそこがボクにとってはあまり好ましくないのだった。


 それに今の学生を全般的に括(くく)って言うと、皆荒い。


 一昔前の大学に漂っていたような品格の類が学生に欠けている。


 特に文系の学生は。