ずっと抱いてて

 高鳴りが増していた。
 

 そしてその高鳴りが収まってしまうと、愛海が、


「祐太、今何時?」


 と訊いてきた。


「ああ。今、午後六時過ぎだよ」


「もうそんな時間?」


「うん。……今日は家にいるつもりなんだろ?」


「ええ、まあね。ただ――」


 愛海が一瞬黙り込み、その後軽く息をついて、


「もうすぐ夕食時ね」


 と言い出した。


「ああ。何か食べ物とかあるの?」


「うん。一応食材は買い込んであるから、それで作ってあげるわよ」