ボクも愛海も、今期末の七月の査定ではこの綾井に対し、最低評価を付けようと言い合っていたし、現に岸川ゼミの仲間たちもそう言っていた。
 

 予備校でも大学でもシステムは同じで、講師や教官の態度や授業内容があまりにひどいと、受講した学生はそれに応じた査定をするのである。


 それはかなりの程度浸透してきつつあった。


 現に悠洋大でも学生が教授に最低ランクの評価を付け、それで辞めさせられていった人間たちは多数いるのである。


 おまけに悠洋大も私立大学だからか、たくさんの教官を抱え込んでいて、無駄な教員が多すぎる。


 二十年ぐらい論文一つ書かないで、教授の椅子に座り続けている人間もいるからだ。


 そういった教官たちは大概、授業を担当すると、学生から低い査定を受けて、ますます窓際的な存在となってしまう。


 単に丸一日教授室にい続けるだけで給与は出るし、ボクも愛海もそういった教官たちを嫌っていた。


 つまらないと分かっているので、最初から話を聞かないのである。


 学生サイドにとって刺激が足りないと言うか、それとも物足りないのだろうか……?