そしてボクがグラスをリビングのテーブルに置くと、彼女が抱き付いてきた。


 ボクが抱き返す。


「離さないよ」


「分かってる」


 愛海が頷き、ボクが彼女をしっかりと抱きしめた。


 すでに半袖でも過ごせるぐらい、気候がいい。


 ボクも愛海も抱き合いながら、夏の訪れを感じ取っていた。


 二人で紡(つむ)ぎ出す甘い甘い初夏のラブストーリーは始まっていて、ボクがゆっくりと彼女の体に愛撫を繰り出す。


 愛海もしっかりと腕全体でボクの体を包み込んだ。


 彼女は今流行っているケータイ小説のようなものから、作家活動を始めようと思っているらしい。