彼女の部屋は瀟洒(しょうしゃ)なマンションの五階にあるのだ。


 ボクも愛海の部屋を訪問するたびに、


“年頃の女の子の部屋にしては散らかってるな”


 とついつい思ってしまう。


 それだけ創作家の住み着く部屋はモノを書くための資料などが山積していて、彼女も例外なくその通りなのだ。


 同じ学部学科に在籍しているボクでも想像がつかないほど、愛海の部屋の汚れ方はひどかった。


 まあ、ボク自身、小説家の頭の中などどうなっているのか分からずにいたし、実際分かるわけがないのだが……。


 マンション一階のエントランスから五階までエレベーターに乗る。


 その後、すぐに彼女の部屋である五〇五号室に辿り着いた。


 ボクたちが学校の授業の合間を縫って過ごすときはとても楽しい。


 桜が散ってしまい、葉桜となって、若葉が萌え始める頃である。