ボクは先生の話をしっかりと聞き漏らさず聞いていて、愛海がノートを取る。


 試験前になれば彼女のノートを借りる気でいた。


 講堂でも一番後ろ辺りにいたボクたちは、マイクを使って講義し続ける岸川教授の話を興味津々(きょうみしんしん)で聞き続ける。


 やがて九十分間の講義が終わり、ボクたちは講堂を出て、第三食堂――通称三食――へと向かった。


 ボクも愛海も足取りが軽い。


 充実した講義を聞いた後は、食堂でバニラアイスでも食べようかと思っていたのだ。


 ボクが売っていたアイスを手に取り、一方の愛海は苺味のアイスクリームを手に取った。


 清算してもらい、食べ始める。


 ボクたちはすっかり満たされた気分のまま、食堂内でしばし歓談した。


 大抵、学生の話題は教授に対する悪口だ。


「あいつの話、ウザい」とか「キモいから辞めて」などと思いっきり言う。


 ボクたち二人も同じ学部の仲間たちとそういったことを遠慮なしに言い合っていた。