ずっと抱いてて

 ボクは地下一階に着き、死に化粧までされた愛海の遺体と対面する。


 愛を誓い合ったパートナーが死ぬというのはどれほど辛いことか。


 ボクにはそれが十分すぎるぐらい十分に分かっていた。


 遅れて病院を訪れた高畑教授がボクたちゼミの学生に、東北にある彼女の実家の人間を呼ばないで、学科の教官と学生だけでささやかに通夜と葬儀を執り行うよう決めてしまう。


 理由は簡単だった。


 愛海が滅多に実家へと帰らなかったから。


 おそらく嫌悪感があったのだろう。


 死んでまで嫌な思いさせたくないよなと、高畑ゼミの皆で言い合っていたし、思ってもいた。


 ほとんど授業に来ないボクも高畑先生と目が合い、


「君が高梨君と付き合ってんだね」


 と言い出す。


 ゼミの学生が集い、ボクたちは交代で遺体を見ながら、愛海の天へと旅立つ日を考えて