ずっと抱いてて

 ボクが向かったのは町でも一番大きい総合病院だった。


 愛海の遺体はそこにある。


 ボクは思わず涙が溢れてくるのをハンカチで拭った。


 事が事なので性急に自転車を走らせて、病院へと辿り着く。


 ボクは思っていた。


「一体誰がこんな残酷な運命を作り上げたのだろうか……?」と。


 搬送先の病院に着くと、当直の医師である菅原が出迎えてくれた。


「高梨さんのご遺体はこちらです」


 菅原が神妙な面持ちでそう言い、地下の霊安室にボクを案内する。


 ボクも同じく神妙な面持ちでいた。


 菅原の説明によると、愛海は町の目抜き通りを歩行中に、突っ込んできたバイクに跳ね飛ばされ、即死したようだった。


 搬送された段階で改めて死亡が確認され、すぐに霊安室へ入れたとのことだ。