ずっと抱いてて

るし」


「うん、分かるよ。今はもう、お前らの時代だからな。これから日本がどうなっていくか分からないけど」


 倉田さんはそう言って、ボクに冷たいコーヒーを一杯淹れてくれた。


 これから明け方まで、男二人で事務所に詰め、延々(えんえん)と話が続くのだ。 


 ボクは普通に倉田さんの話相手をしていた。


 話好きなのを知っているから。


 いろんな経験を経てきているので、倉田さんはボクに対し、面白い話をしてくれる。


 硬い政治や経済などの話題から、語るには軽い芸能ネタまで、倉田さんはずっと話し続けた。


 ボクは自分よりも年配者である倉田さんの話を聞きながら、雑学を頭に叩き込んでいる。


 これが週に三回続くのだ。


 その夜もボクと倉田さんは互いにやや苦めのコーヒーを飲みながら、会話を交わし続ける。