「ひっ」
あたしは驚いてあからさまな声を出してしまった。
「ひどいなーその反応」
「あんたが驚かすのが悪いんでしょ!」
心臓に悪過ぎる。
あたしは後ろから腕を回す十星を無視してパソコンに目を戻した。
会沢藤五郎、あたしは確かにこの顔をどこかで見たことがあった。
いくら思い出そうとしても、どうにも出てこない。
テレビか何かで見かけただけだろうか。
「ねぇ」
「ん」
「この人、テレビとか雑誌とか、なんかいろいろ出たりしてる?」
「いや?顔を出すのが嫌いらしい。この写真は俺の隠し撮り」
「ふーん……」
どこで見たのだろう。
気になる。
が、今はそれよりも……
「耳元で話すのやめてくれない?あと腕邪魔」
腕を回されるのはまだ耐えられたが、耳に息がかかるのが気になって仕方ない。
「……千夏さんって、俺のこと男として見てないでしょ」
そう言って大きな溜息をついたのが、また耳に、顔にもかかる。
「……はい?」
「普通、女の子がこんないい男に耳元で話されたりしたら真っ赤っかだもんね」
……自分で言うか。
赤いかどうかは知らないが、正直なところ顔は熱い。
十星には絶対に教えないけど。
「さっきだって、俺の無防備な寝顔なんか見ちゃったら夜這いせずにはいられないはずだし」
それはないでしょ……
冗談で言っているのか、それとも本気なのか。
というか、さっき起きてたのか。
こいつの場合、本気かもしれない。
一向に離れる気配がないので諦めかけた。
そのとき十星が言った言葉に息が止まる。
「俺なんて、あとで千夏が寝たら襲わない自信ないのに」



