男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




バタバタと受付に駆け込んで


「あのっ!!矢口と申しますが……」


息も切れ切れに声をかける。


教えられたそこは……いわゆる24時間体制のICU的な場所で。


案内されるがままに歩いて行く。


「葵……よく来たね」


お父さん。


「お疲れ様」


お母さん。


こんな形でお母さんと再会するなんて……思いもしなかった。


何を話したらいいのか分からないよ。


そして……目の前のベッドにはたくさんの管に繋がれたおじいちゃんがいた。


「おばあちゃんは?」


「2階で仮眠してる……昨日急に倒れて……まさか入院になるなんて思わなかったからびっくりしたよ」


「本当だね」


眠っているおじいちゃんは、相変わらず小さい体だけど顔色は良いような気がした。


「まぁ座りなさいよ」


「ありがと……」


ポン……ポン……。


無機質な機械の音が鳴り響く中、私達家族は無言だった。