男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




「えっと……すぐに連絡取ります!」


リュウジの親は関西人だから、挨拶に行くには遠すぎて、親戚に会った事は無かった。


今の彼にとってたった一人のおじいちゃん。


釣りが上手なんだっていつも話してたっけ。


おじいちゃんの釣竿、うちにたくさんあるもんね。


1年ぐらい前から具合が悪いとは聞いていたけど……弱ってるところを見せたくない。


義母さんの意向もあって、結局一度もお見舞いすら行けずじまいだった大阪。


「葵ちゃんは会ったことないし今回は来てくれなくていいからね」


そう言われてしまえば……無理に行く理由も無く。


慌しく仕事から帰ってきたリュウジに喪服やら、着替えやらを持たせると新幹線の駅まで送った。


就職する前で良かったな、なんて思いながら。


そして……お通夜の日の夜。


私の携帯が鳴った。


着信:実家