男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




2006年1月。


「うん、そうなんだ! 名前は?」


「どっちに似てんの?えっ、ダンナ?」


「今度会いに行くからっ」


華やいだリュウジの声。


年明け早々義姉、綾子さんの子供が産まれた。


名前は「美咲」


私が産んであげられなかった二人目の子に……と付けた名前と偶然の一致にまた心が曇る。


リュウジは……心底はしゃいでいた。


子供好きだもん。


初の姪の誕生が嬉しいよね。


うん、私だってきっと弟の子供だったらきっと笑えてた。


また一つ。


リュウジの家族との溝。


私には甥も姪もいない。


私の親には孫がいない。


持ってる人にはわかんないよ……。


「ねぇ、葵。出産祝い何がいいかな?美咲にプレゼントも買いたいし」


上機嫌なリュウジ。


「どうしようね」


返事出来る訳がない。


嫉妬とか、醜い感情が溢れ出そうで……一度出てしまえばもう止められない気がしたから、歯を食いしばって耐えた。


電話だけでもこんなに辛いのに、実際姪に会った時、私はどうなってしまうんだろう?