男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




4月の下旬になって……私はいまだにこれといった働き先も無く回転寿司でパートをしていた。


お店の奥さん(と言っても店長のお母さん)は毎日チラシをくれる。


新聞を取っていない我が家の為に


「チラシは見ないから欲しいならあげるわよ、ゴミが減って助かるし」


そう言われてありがたく地元の情報をチラシで集めていた。


そんな中、引越しを考えていた私たち。


なぜかと言うと、今の家を会社が借りてくれる期限が近付いていたからだ。


もちろん、再度この場所を借りることは可能だけれど、そうなると敷金やなんかは払いなおさなければならない。


ペットも増えたことだし、今の家はちょっと狭くなっていた。


駅の周りには最近大きなマンションが数件建設されている。


奥さんから貰ったチラシでその広告をみた私はちょっとだけはしゃいだ。


地元じゃありえない手頃な金額で買う事が可能な新築マンション。


そこには……ここを借りなおす場合の家賃と同じぐらいの金額でローンが組めます!なんて書いてあるから心が揺れる。


それだけじゃなくて……。


そう、やんちゃ放題なわんこのおかげで正直賃貸は怖かったのだ。


いつの間にか我が家は、修繕費から目をそらしたくなるぐらいに破壊され、悲惨な事になっていた。


また頭に響く。


コドモガイナインダカラ、トモバタラキシテマンションカッタッテ……


さすがに家を買ってローンを組んで……お金が無くなれば不妊治療への淡い期待をしなくて済むかもしれない。


私はもう止まらなかった。