前回とは病名も違ってた。
「これは無精子症です……」
「乏」と「無」では随分な違いに感じる。
それを、私はリュウジに告げなければいけない。
それでも少しだけほっとした自分がいた。
最低な私。
自分が原因ではない事をちょっと喜んでしまったのだ。
自分が原因だったとしたら……私はリュウジにただ謝るだけで、その重圧に耐え切れないだろう。
ズルイ女。
実際に子供が出来ない事を理由に離婚する人がいる。
表に理由を出さないだけでその数はかなり多いと言う。
私はそこまで考えないけど、もし自分が原因でダメだとしたら?
それで別れてって言われたら?
たぶん、受け入れるしかない。
いやいや。
そんな悪い気持ち、消し去らなきゃ。
私たちにはまだ未来がある。
一歩進む事は出来たんだから!
私はその日、実家に電話をした。


