「乏精子症の診断ですか。じゃあうちでは機械にかけてもっと詳しく検査をしましょう」
仕事を早く終わらせてきたリュウジと二人、先生の話に聞き入る。
泌尿器科なんて場所は初めて来たけど、思ったより普通の雰囲気にちょっとだけ安心しながら。
検査は……やっぱり前と同じで私は再度小さなリュウジを運ぶ事に。
仕事が忙しい彼は基本病院へ行く暇すらないのだから出来ることは協力する。
って私はそもそもパートしか無いから時間だけはあるんだけど。
抜け出るんだ。
主婦さんとは子供の話が出来ない。
結婚してない友達ともやっぱり話が合わない。
「ママ友」
なんて素敵な響きなんだろう。
それは今の私にとって一番の憧れだ。
そして次の週、私は再度胸の谷間に試験管を大切に抱えて病院へと走った。
「結果は1週間後に聞きに来て下さいね」
「あの、夫は忙しいので私が来ても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ」
一週間後、私達の答えはもうすぐ出る。


