診察室に入ると先生はカレンダーを確認しながらなにやらカルテをパラパラと捲っている。 そして 「薬はまだ続くけど、今日で終わりにしようか」 ……その言葉が余りに唐突だったから一瞬固まってしまい、だけど次の瞬間 「はい、分かりました!」 そう笑顔で答えている自分がいた。 突然訪れた「卒業」の日。 これまでその日があまりに遠すぎたから、現実味が無かったのかもしれない。 本当にここへ来ない日が来るなんて……どこかで信じられて無かったのかもしれない。 だけど……現実にこの日はやって来た。