先生の説明はこうだった。
「通常の何倍も命令が出ているのに、精子が確認出来ないという事は造る機能がダメージを受けていると考えられます」
そっか……。
造られてないから……脳からもっと頑張れ!って信号が出てるんだ。
これで確定した事が一つ。
ひょっとして中では造られているけども出て来れないだけ……という無精子症の中では軽度な症状では無い。
それならば、こんな命令は出ないはずだから。
睾丸自体が過去の抗がん剤でダメージを受けている……それが現実。
「桜木さんみたいな状態を非閉塞型と言います。これで実際に睾丸を切ってみて精子が確認できれば妊娠は可能ですが……」
怖がりで痛がりなリュウジに決断の時が迫る。


