病院に着くと憔悴しきった両親の姿。ろくに寝ていないに違いない。
おじいちゃんは……薬を止めるとひどく痛がるらしく強い痛み止めを常時流入していた。
そのせいで年中眠く意識はないと言う。
「おばあちゃんは?」
「夜は家で眠ってもらってる」
「そっか……でもとりあえず今は落ち着いてるんでしょ?私看てるから二人共寝てきなよ」
そう言うと、よほど疲れていたのか両親は驚くほど素直に仮眠室へと消えていった。
おじいちゃんと二人きり。
「来たよっ!」
返事はない。小さく冷たい手を握り笑顔で話しかけた。
モニターに心拍と血圧が映し出され、その機械は一定よりも値が低下すると大きな音で鳴り響く。
初めて一人でその音を聞いた私は慌てて看護婦さんに聞く。
「強い薬を入れてますからね。睡眠時は特に下がるんですよ」
ベルが鳴る度看護婦さんは様子を見にきてくれた。
朝までの長い時間。
明日には弟も、いとこも来るだろう。
そうしてまたみんなで看病して行くんだろうな。
……けれど。


