男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




結局……滞在中の私の問いかけにおじいちゃんは虚ろな目でこちらを見たきりで……ただそれだけで。


「わざわざありがとね。今は落ち着いてるみたいだから帰る?」


「そうだね……犬や猫も置いてきてるし、リュウジもいないし」


ホントはもっともっと一緒にいたかった。


でも良かったね、おじいちゃん。


お父さんも伯母さんも私以外のいとこも、みんなそばについててくれて良かったね。


だって……私が老人になって倒れる日が来たらきっと一人。


考えると……怖いよ。


お昼過ぎ、大阪で葬儀を終えたリュウジが喪服のまま迎えに来る。


「また病気の原因とか分かったら電話するからね」


お父さんにそう言われ帰路についた。


就職まであと少し。


忙しくなる前に顔を見れて良かった。


あまりお見舞い行けないけど早く良くなってね……そう願っていた。