「おい、何やってんだよ。大丈夫か?」 軽々と自転車を持ち上げた涼太は、自転車を道の脇に停めた。 「ドジだな……」 「すいません」 まだ敬語な桜子は、顔を両手で押さえながら頭を下げた。 「話って何?」 ちょうどそばにあったベンチに涼太は腰掛けた。 映画のワンシーンのように絵になるふたり。 部活で汗をかいた涼太は髪が乱れていて、教室で見るよりもワイルドだ。 「ちょっと話したいなぁって」 涼太から離れたベンチの端に座った桜子。