「俺のこと、見てた?」 完全に振り向くのではなく、顔半分だけ振り向いた彼は、流し目で私を見た。 「ごめんなさい」 謝る私に…… 初めての笑顔。 彼は、笑った。 夕日のせいじゃない。 彼の笑顔がまぶしすぎて、私は胸が痛んだ。 日に焼けた肌に、白い歯。 鋭い目元は、笑うととても優しく変化する。 「何謝ってんの?」 「勝手に……見てたから」 さっきから一度も瞬きができない。 瞬きをすると、彼が消えてしまいそう。 目の前で優しく微笑む彼は、ボールをポーンと高く蹴った。