10分間。 私は、木の陰に隠れながらただその男の子を見つめていた。 ボールを時々ポーンと空高く蹴り上げて、そのボールを首の後ろでキャッチする。 そしてまた膝で蹴り、足先で蹴り、おでこに乗せる。 サッカーゴールがあるのに、ゴールに蹴り込むことはない。 ただずっとドリブルを続けていた。 楽しそうに、嬉しそうに。 この高校の先輩なのかな。 私……こんなにドキドキしたことってない。 動けない。 苦しいくらいにドキドキしている。