僕も桜子も目がテンになった。 どういうこと? 「呼び出してごめん」 淳平はそう言って、桜子に頭を下げた。 呼び出して? よくわからない。 呼び出したのは桜子だし、それに相手は涼太だ。 「樋渡…… なかなかふたりになれるチャンスがなかったから、涼太に頼んだんだ。手紙渡してくれって。突然ごめん」 「え、手紙って?」 動揺する桜子を無視して、淳平は話し始めた。 桜子の自転車のかごの中のボールが寂しそうだった。