僕にキが訪れる

それじゃお大事にと残して帰る医者を見送り、僕は部屋に戻る。

いつかは、か。

……まぁ、今はまだいいだろう。

そう、その内。

まだ動ける内はこうしていたい。

まだ、彼女と過ごしていたい。

そんなことを考える自分に驚く。

いや、ただ退屈だから。

彼女と過ごすのは、それなりに楽しめるから。

ただそれだけだ。

まだ追い返す理由も思いついていないし。

ただ、それだけの話。

誰にするわけでもない言い訳を、僕はそっと呟いた。