僕にキが訪れる

「それはよかったじゃないか、外に出られなくて退屈だったろうし」


「まぁ、それなりに暇潰しにはなってますよ」


そうかいそうかい、と笑った後で彼は少し寂しそうな顔をした。

僅かな躊躇いを見せた後、彼は口を開く。


「えっと、その子は、その、君の病気のこと」


「知りませんよ。教えるつもりもありません」


きっぱりと答える。


「そう、か……その方が、いいかも知れないね」